ペンラケットのメリット・デメリットとは

現代卓球においては8割方シェークハンドを使用する中、ペンホルダーに有利な点はあるのか、という話です。あくまで私個人の考えですが見解をまとめてみましたので参考までにしていただければ幸いです。

 

 

ペンラケットの利点

シェークハンドが卓球人口のほとんどを占めるようになった現代卓球(大きなルール改定が行われた21世紀以降)の五輪・世界選手権メダリストの多くがペンホルダーです。

 

まあそのメダリストのほぼ全員が比較的ペンホルダーが普及している中国選手だったワケですが、2000年台すでに中国国内でもシェークが多数派を占めていた状況下で、長い期間中国トップ3のうち2人はペンホルダーだったわけですね。

 

この事実からペンホルダーにはシェークにはない優位性は間違いなくあると私は考えるわけですね。

 

そしてその利点は主に以下の2点に集約されると考えます。

 

台上技術

卓球の試合というのは大半が台上から始まるので先に主導権を握りやすいという利点があります。馬林、王皓、許キン(全員WR1位経験者)などトップレベルのペンホルダーは台上で主導権が握れるからこそ強いと私は考えています。

 

ペンホルダーは手首の広い可動域でラケット角度の細かい調整がききますので、可動範囲が限られる台上ではこの性質が非常に有利に働くのです。

 

それと比較してシェークですと手首の可動域が狭められるので、台上ではあまり自由な打ち方ができません。

 

やはりペンとシェークのトップ選手の試合を見比べてみると、台上でのレシーブから自分の有利な展開に持って行く戦法はペン選手が得意にしていると感じます。

 

サービス

またサービスにおいてもペンは優位性を持っているのではないでしょうか。

 

ペン持ちですと手首のスナップの他、肘や肩の可動性も向上します。その可動性の高さは非常に読みづらい変則的なサーブや強烈な回転サーブを出すことを可能にしています。

 

それを証明している選手が北京オリンピック金メダリストの馬琳選手です。彼の上記ペン特性を活かした多彩なサービス・強烈な回転は「マジカルサーブ」とも呼ばれ多くの選手を苦しめました。

 

▼馬琳の中国スーパーリーグで見せた台上で急停止するサーブ

 

 

片面ペンは通用しないのか

ただしいくらペンにメリットがあるといっても、日本の伝統的なプレイスタイルだった「片面ペン」は現代卓球ではもう通用しなくなっている気がします。

 

やはりなんといってバックの弱点が痛過ぎます。

 

片面ペン選手相手にはバックサイドを集中攻撃するのがセオリーですがシェークのようにバックドライブによる反撃ができないので、バックショートで堪え忍ぶしかありません。

 

回りこんでフォアで反撃しても、がら空きのフォアサイドを打ち抜かれるという罠・・・。

 

 

片面日ペン使いといえばアテネ五輪金メダリストで有名なユ・スンミンがおりましたが

 

彼も全盛期なら片面ペン最大の弱点であるバックサイドのボールも超人的なフットワークによりほぼオールフォアで処理できていましたが、年齢でフットワークに陰りがでてからは無理な回り込みもできなくなり、上述したような展開で非常に苦しい卓球をしていました。

 

 

これからの時代裏面は必須か

裏面にラバーを貼ればペンの弱点であるバック系の技術を補填することができます。それプラス台上での優位性が働くので、使いこなせばシェークよりもむしろ有利なのではと思います。

 

このプレイスタイルで王皓は五輪3大会で銀メダル、世界選手権金メダル獲得という華々しい実績を残しています。

 

 

しかし裏にラバーを貼ることでラケットがかなり重くなることは忘れてはなりません。

 

総重量としてはシェークとほとんど変わらないものの、ペンホルダーの場合はそれを指で握らなければならない都合上、手首への負担は大きくなりより筋力が求められます。

 

トップレベルの選手はほぼ例外なく幼少期から卓球を始めていますが、力がない幼少期に両面にラバーを貼ったペンラケットを振り回すのが非常に難しいというのも痛いです。

 

 

ペンは習得が難しい

可動域が広いというのは逆にいえば非常に繊細なラケットの角度調整やボールタッチが求められるということ。この可動域がたたってミスに繋がることも少なくありません。ようは習得難易度がシェークよりも高いのですね。

 

それでいて指導者が少ないので、習得には独学に頼る部分が大きくなるでしょう(特に日本では)。

 

しかし今はインターネットがあり、トップ選手の試合がタダで見れる時代です。王皓・柳承敏・馬琳・許キンなど一流のペンの使い手の動画を見まくるだけでも学べることは山ほどあります。

 

これからペンでやっていきたいと思っている人は、指導者がいないからと諦めず独学で積極的に学んで是非一流のペン使いになってください。

 

現在日本の代表選手の全てはシェーク使いですが、いずれは代表入りして世界で活躍する日本のペン選手が見たいですね。